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え? 何で、そうなるのかな…。けど…西門ってすごい前向きだよなあ。ホント、いい奴だなあ~。それはそれで楽しそうだし。
西門らしいちょっと強引な話の持って行きように、東雲は思わず笑ってしまった。素直に嬉しかった。
あ、そうだ。じゃあ、俺も、西門に何か…。
「…うん、ありがとう。じゃ、俺もお礼に、君に数学を教えるよ」
途端、浮いていた西門の足が地に落ちた。
「え? な、何で? 数学?」
「ごめん、職員室の前で聞いちゃったんだ。進級ギリギリだって。俺、勉強しかしてこなかったから、これしか役に立たないけど…」
東雲の視線が一瞬、足元に落ちて苦笑が浮かぶ。
「ありゃ。聞かれたんかいな~。けど…。東雲は教えるん上手いし、こないだのも、ようわかったし、進級でけへんかったら困るし、これはこれでエエこっちゃな!」
腕組みをした西門は、うんうんと何度も頷いた。そして、ぽんとまた手を叩く。
「分かった! ほな、頼むわ。けどホンマわい、アホなんやで」
「知ってるから」
「うわ、そこは否定するトコやろ!」
空に向かって二人でケタケタ笑う。
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