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「島田殿も一緒に流されてきたのですな」
「流されたって?」
「覚えてないですかな? 乗ってたフェリーが嵐にのまれて、バラバラになったのですぞ。小生も途中はよく覚えてないですが、気がついたらこの島に……」
ハカセの説明を聞きながら、自分自身の記憶が蘇ってきた。そうだ、修学旅行で沖縄に行ってきた帰りだった。
楽しかったな、沖縄。ソーキそばが美味しかった。その沖縄からの帰りにフェリーに乗ったんだ。フェリーなんて初めて乗ったな。中は思ったよりも広くて、ビュッフェがあった。ビュッフェの食べ物って、なんであんなに魅力的なんだろうな。いつもはそんなに食べないのに、サラダまで山盛りにして食べてしまう。明太子のドレッシングがけっこういい感じだった。
……いや、そういうことは今は関係ない。
「そうだ、急に暗い雲が近づいてきて、波が大きくなって……。気がついたらここにいたんだ」
「そういうわけですな、島田殿。さっきまでこの島をぐるっと回ってきたが、この島に流れ着いたのは小生たち四人だけらしい」
ハカセの説明の違和感にすぐに気がついて、聞き返す。
「四人?」
僕とハカセ、それに綾瀬さん。ここにいるのは三人だ。ちょうどその時、ガサリと林の方から音がした。
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