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「裕香さんのご両親のお墓はありません。
でも、お寺に預けてあった遺骨を樹木葬にしたと、亡き【千賀隼人】君が言ってました。
お寺の住所を、今書きますから待っていて下さい」
施設長の言葉を聞いて、私は和樹を見た。
それに気づいた和樹は頷く。
私が出来なかった事を、隼兄がしてくれた。
なら、私は隼兄のお墓に礼を言いに行く義務がある。
「こちらが、住所とお寺の名前と電話番号です」
施設長が差し出したメモを和樹が受け取ってくれた。
『裕香さん、また会いましょう』と言ってくれた施設長に頭を下げて、児童養護施設を後にした。
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