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全て、何もないと思っていた。
だけど違った。
父と母の遺骨を樹木葬にしてくれた隼兄。
母の形見を大切に保管してくれていた施設長。
過去を思い出しても、もう辛いとは思わない。
それに、息苦しいとも感じない。
「裕香」
その日の夜、私の名を呼ぶ和樹と、久しぶりに肌と肌を重ねた。
「次は裕馬な」
私の耳元で、そう囁く和樹に胸が躍る。
和樹が居るから、私は強くなれる。
「和樹……愛してる……」
私の言葉を聞いた和樹が『俺も…』と言うと律動を速めた。
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