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このマンションを買った時、正直、裕香とやり直せるとは思ってなかった。
誰が悪い訳ではねぇ。
記憶をなくした俺が悪い。
だが、やはり俺と裕香の運命の糸は繋がっていた。
今だから、そう実感出来るのかも知れねぇ。
「和樹、みんな帰ったよ」
ベランダのサッシを開け、そう言ったのは、俺の愛する嫁。
「裕香」
「ん?」
「早く裕馬にも会いてぇな」
「そうだね」
裕香とそんな会話をしながらリビングに入る。
爺さんの姿もないから、裕香の身体を後ろから抱きしめる。
「裕香、俺の嫁になってくれてありがとうな」
この先も忘れずに感謝の言葉を言っていこうと強く思う俺は、再度誓う。
俺の親みてぇな人間にはならねぇと……
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