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「震えて見える? なにそれ。顔だけ震えてるってこと?」
「うん。昨日はお酒に酔ってたからかなって思ったんやけど、今朝も震えて見えたから」
私が深刻な顔でそう言って俯くと、美玖は私の額に手の甲を当ててきた。
「熱は無いみたいやね。ってかさ、男子を起こしにいかへん? 他にも顔が震えて見えるメンバーがおるかもしれんし」
茶化すようにそう言った美玖は、私の手を引いて立ち上がらせた。
男子のテント前に移動すると、談笑する声が聞こえてくる。どうやら既に起きているようだ。
「寝てる顔に落書きでもしようと思ってたのに。つまんな」
テントを勢いよく開けた美玖がそう言うと、男子の一人、東條が大きなあくびをしながら「小学生かよ」と笑いながら返した。そして、「安原見んかった?」と続ける。
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