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本編
「まぁ、なんて可愛い王女様なのでしょう?」
「この子は人間じゃない。
まさに天使だ。」
海のように大きな湖のほとりに建つ小さなお城、ダナンルート城に、それはそれは美しい王女様が誕生し、王様もお后様も使用人達も、皆がとても幸せな気持ちになりました。
きっと、この国はさらに繁栄するだろうとまで思いました。
『ジョセフィーヌ』と名付けられた姫様は、生まれた瞬間から、皆に愛されました。
「王様、お后様、姫様に祝福を授けたいのですが…」
そう言ってきたのは、湖の中洲に住む年老いた魔女でした。
今までもお城のためによく働いてくれた魔女です。
「なんと、姫に祝福を?
一体、どんな祝福を授けてくれるのだ?」
「はい、歳を取らない祝福です。」
「歳を取らぬだと?」
「はい、私は自分が歳を取り、つくづく思ったのです。
歳は取りたくない、と。
体はあちこち痛くなり、目は薄くなり、耳も遠くなりました。
物覚えも悪くなり、魔法にもきれがなくなってきました。
ずっと若いままだったら、こんなことはないのに。
ですから、姫様には永遠に歳を取らず、元気で暮らしていただきたいと思ったのです。」
思いがけない魔女の言葉に、王様は目を見開きました。
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