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「心配しないで誰にも言わないから」
代わりに服はやっぱり受け取って欲しいと私は言った。
「服がないことに同情してるんじゃないの。私のためだと思って受け取ってくれない?」
新しい服が欲しいこと、見ていてこっちが寒いこと、瑞希のプライドを気づつけずに服をもらってもらえるように細心の注意を払って話した。
「その服、お義父さん知ってるんじゃないの? 知らない服の方が見つかりにくいとも思うの」
亡くなったお姉さんの服だと言うからひと目で気づいてしまうかもしれない。
今度は瑞希も素直にうなづき受け取ってくれた。
「ありがとう。大事にする」
ばっと上の服を脱いだかと思うと、従姉のパーカーを瑞希は着た。
まるで瑞希のためにできたかのようにぴったりだった。
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