ゆきだるま

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ゆきだるま

 味のしない朝ごはんを食べて、ソファーにとびこんだ。  リモコンのボタンをおして、おもしろい番組がないか見る。  でもどれもすぐにあきちゃった。  わたしはふと思い立ってクローゼットからお母さんが買ってくれた冬服をひっぱり出してきた。  わたしはそれを着て、マフラーと手ぶくろをつければじゅんびOK!  お気に入りの長ぐつをはいて、ドアノブを回した。  目の前に広がっていたのは、まっしろな世界。 「わぁ…!」  わたしは思わず声を上げた。  いつもはかわいている道路も、雪があたり一面につもっていた。  わたしは目をかがやかせながらまっしろな世界を進んだ。  歩くたびに、さくっ、さくっ、と音がして、つもった雪にわたしの足あとがつく。  なんだかおもしろくて、しばらくあしぶみして遊んでいた。  そして、それにあきるとしばらく考えて、近所の公園に行くことにした。  さくっ、さくっ。  歩くたびに音がする。  おもしろい。  わたしはさっきのユーウツな気分とはちがうウキウキした気分で歩き出した。  公園の地面にあった雪をまるめる。  できあがった、大きい雪玉と小さい雪玉。  大きい雪玉は体。  小さい雪玉は顔。  これ、なんだと思う?  そう、雪だるま。  わたしはお友だちが少ないから、雪だるまのお友だちを作ることにしたの。  わたしは顔の小さい雪玉に目や鼻をつけることにした。 「よしっ!完成!」  わたしは声をあげた。  できあがったのは、まっしろな雪だるま。  わたしは満足してうなずいた。  でも、すぐに気づく。  この雪だるまは、しゃべらない。  いのちがない。遊べない、動かない。  わたしはがっくりとかたを落とした。    
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