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「――なぁ、俺はあんたに生きてくれと頼むことはできる。でも意味がないんだ。あんたが自分から望まないと」
グレイの手が、私の細い手に触れた。
じんわりと温かさが伝わる。
想いが喉元までせり上がる。彼の青緑色の目が優しく私を見つめる。私を助け、ここまで導いてくれた人。一度たりとも、私を責めなかった彼の視線に、想いがこぼれた。
「私……生きたい」
言ってしまった。
「グレイに助けてもらって、本当はずっと嬉しかった。ルイーザや、町の人たちともっと話をしたい。外の空気を感じて生きていきたい。
……いいのかしら」
「優しい戦士達が、許さないわけないさ。皆、誰かが助かるために、光ある未来を夢見て戦ったんだ。
それに誰より――俺が許すよ。
あんたが助かって、本当によかった。生きていてくれて、ありがとう」
グレイが私を抱きしめる。うぁあ、と声をあげ私は号泣する。止まらない。彼の服をぎゅっとつかむ。
生きて、いいんだ。
生きたい。
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