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それから、僕とせいちゃん会うことはなかった。
せいちゃんは僕が父に殴られ、顔が腫れて、2日ほど学校を休んでいる間に、引っ越してしまったのだ。
僕は、ごめんよ。許してくれ。これからは、何でもする。友達だろ。お詫びに君の好きなものを、何でもやろう。
と、まさかそんなことになるとは思わず、ありったけの謝罪の言葉を用意して、せいちゃんに会うつもりだったのに、全て無駄だった。
引っ越しは、最初から決まっていたのか、僕が彼を傷つけたせいでそうなったのかは、わからない。
ただ、大切な友達を失ったことには変わらなかった。
僕はせいちゃんと会えなくなってから、嵐の夜になると、そのことを思い出して、たまらない気持ちになることがあった。けれど、必死に涙するのは堪えた。
彼を思ってじゃない。自分を憐んでなくのは、みっともなくて仕方なかったからだ。
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