のびる神様について

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第3章 延伸神社での体験 さて、これまでの章でのびる神の大まかな概要や歴史について知れたと思うがこのレポートの目的は歴史、概要を知ることと同時にのびる神について興味を持ってもらうことにもある。 という訳でこの章では私が先日訪れた日本で唯一のびる神信仰が残る延伸神社での体験談を記し、のびる神信仰とこの神社の魅力を知ってもらいたい。 私が延伸神社を訪れたのは7月の24日その日に延伸神社を訪れたのには理由がある。延伸神社では7月の25日からのびる神を讃える祭りが行われているのだ。私はその前日に身延に入り祭りの設営が行われている様子を写真に収めようと延伸神社まで足を延ばした。 延伸神社の近くでは既にいくつかの屋台の設営が行われており、みな忙しそうだったので私も設営に協力したいと申し出た。 祭りの設営をしている人に声を掛けると大層驚かれた。どうやらこの神社を日本人以外が訪れるのは珍しいことらしい。 幸い私は日本に長く留学していたのでコミュニケーションは問題なかったがやはり外国人観光客にもこの場所は認知されていないみたいだ。 一通り屋台の設営を終える頃には辺りは少し暗くなり始めていて帰りの支度を進めていたら設営をしていた数人が何かが入った袋を持ってきて手伝ってくれたお礼にと私にくれた。 ホテルに帰ってみるとそれはチーズだった。ただ普通のカットチーズではなくラクレットチーズと呼ばれるものでそれが丸々一個袋の中には入っていた。 普通に買えば一体いくらになるのだろう。ありがたいが飛行機に持ち込むことはできないしどう消費したらよいだろうかと頭を悩まされることになった。 チーズの件は後で考えるとしてその日は眠りにつき迎えた延伸祭りの当日、もちろん認知度が極端に低い神社なので参加者はまばらなのだが縁日は少数の参加者で賑わいを見せていた。 屋台ではふんだんなチーズを使ったとにかく伸びることを意識した料理が並んでいて屋台の従業員も伸び伸びと営業を行うことを義務付けられているのでさながら新大久保の町の一角のような空気感が漂っていた。 中でも見者だったのがラクレットチーズ屋の店主とチヂミ屋台の店主が伸び伸びと料理のアピールを行い売り上げを競う名物伸び縮み合戦である。 この合戦は祭りが始まって以来20年ほど続く伝統のある戦いで大体いつもはラクレットチーズ屋で買ったチーズをチヂミにかけてチーズチヂミにして食べる客が続出し売り上げがとんとんになり決着がつかないのだが今回はチヂミ屋が事前に予告していなかったチュクミカレーを提供するという反則に近い異例の戦法を取ったことで会場内が沸いていた。 しかし、結局チュクミカレーにもチーズが合うということが分かり売り上げはとんとんになったそうだ。 これまでの記載でもわかる通りこの祭りに屋台では味の濃いものが並ぶのでアルコール類(主にビール)が飛ぶように売れ大体祭りの終わりには道の端っこで伸びる人が続出する。 羽目を外しすぎないことが祭りを最後まで楽しむコツだ。 一通り縁日を周り延伸神社での参拝を終えた私は最後に神社の近くにある延伸温泉に入り旅を占めることにした。 延伸温泉は知る人ぞ知る秘湯とされており伸びるまで湯につかることが出来ればその後の人生で色々なものが伸びると噂されている。 この湯に浸かった学生は成績が急激に伸び志望校に受かったという話や売れない配信者がこの湯に浸かってからは投稿する全ての動画が二桁万再生数以上になったであるとかこの湯に浸かったキックボクサーが次の試合で一ラウンドでKOされのびたなど現地の人々から様々な話を聞くことが出来た。 私も今後の人生の伸びを期待して一日中歩いた汗を洗い落とし、湯舟を満喫した。流石に伸びるまでは浸かることはできなかったが疲れは十分に取れ、とても満足だ。 とても良かったのでこの温泉のことをSNSに投稿してみたが全く伸びなかったのは私がのびるまで浸かれなかったからかそもそも延伸周りの情報はのびないジンクスでもあるのかは定かではないがこれで私の延伸神社での体験を終えさせてもらう。
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