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第23話 社長夫人になって
よく保険の顧客の紹介をしてくれる『統合芸能プロダクション』の社長と恋仲に成った。
「〇〇ちゃんと居ると楽しいから結婚してよ。」
そんなに簡単に結婚って決められるものなんだな。 まあ私も、この社長となら上手くやれるかもな。 最初の結婚が大失敗だったから、次は失敗しないようにって慎重になってたんだけどね。
金銭的な余裕が有れば、結婚式や新居の準備も簡単に出来ちゃうものなんだね。
この社長に大切にされて1男を授かった。
育児は大変だが、金銭的な心配が無いのが嬉しかった。
子供が出来て、夫も家事を手伝ってくれる。
幸せな日々が続いた。
夫は私が手に入ると、次の楽しみを見つけたのかも知れない。 内部情報では若い事務員と良い仲になっているらしい。
そうかと言って家庭を壊す気も無いようだ。
家庭に帰れば優しい夫を演じてくれる。
《昭和の時代なら浮気は男の甲斐性って事なんだろう。》
波風を立ててくれなければ良いと思っていた。
ある日、社長の言い付けで自宅に書類を取りに来た事務員がいた。
「お初にお目にかかります。統合社長から、大月那比矢の所属契約書を家に置いてあるので持ってきてくれ……との事です。」
書類が要るなら勝手に持っていけば良いのに、この女性事務員はかしこまった態度で、私にどうして欲しいのか? こんなにゆっくりしてて急がないのか?と違和感を感じた。
「奥様は元保険の外交をされていたのでしたっけ?」
《そうだけど、それが何か?》と言いたい。
「社長は女好きだと社内でも評判ですものね。」
《だから何? 社長を滴し込んだのは事実よ! でも、それが貴女と何の関係が? ハハン、貴女が噂の社長の愛人ね!》
「私、今は社長の夫人なんです。 元保険外交員って、咎められる事なのかしら?」
これが女の戦いの始まりだった。
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