2. あの日の約束

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 駿さんは更に続ける。 「で、その “ 星屑のステージ ” って何なんだ? と思って、調べてみたんだよ。 そしたらね、 『市民薄明(しみんはくめい)航海薄明(こうかいはくめい)の間の僅かな時間に起こるそのイリュージョンを背景に、そのステージ上で心を込めて歌うと、たった一度、願った時間が与えられる』 その遊園地のステージには、そんな都市伝説があるんだって。 そんなただの噂話……と思ったよ。 簡単に信じられる話じゃないって分かってる。 だけど、7月18日といえば、あいつが亡くなった日だろ? もしそこに本当に奏詞が戻って来るのなら、本当にそんなことが叶うのなら……。 俺は一緒に()りたいし、君にも来て欲しい……そう思ったんだ」 ……彼が……戻って来る? ステージで歌う? その後に “ 五分間 ” の時間が与えられる?……  例え見た夢の偶然が重なったとしても、それがあり得ない偶然だったとしても…… そんな話が実現する筈なんてない……。    瞬きを繰り返し大きく息をする私に、駿さんは更に話し続ける。 「去年の夏フェス、誰よりも出演を熱望してたの奏詞だったし、意欲的に準備に取り組んでたからね。 出られなかったの、すっごく悔しかったと思うんだよ。 だから、歌わせてやりたい。 それと、間際になってあいつが持って来た新曲があってね…… 『これを歌うことを、ある人と約束した』って言ってた。 ……君のことだよね? だから奏詞は、その曲を歌う約束を果たして、 “ ” を君に会う為に使いたいんだと思う」  駿さんは真剣な眼差しで、私にそう訴えた。
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