15人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
♫
『僕らの想い出は 空に返そう
星屑に紛れて 僕は君を守る
けれど……
守られてることなど
憶えてなくていい
巡る季節 風の匂い
今を感じて どうか前へ』
あの日、ウォークマンで聴いた歌と、2番の歌詞が違っている。
きっと私だけでなく、彼の死を受け止められず、悲しみから抜け出せないファンの人たちにも伝えたいのだと思った。
彼が歌いながら空へ伸ばした指先に、小さな星屑たちが瞬いて見えた。
彼の唇が最後の言葉を紡ぎ終わり、ギターが最後の一音を弾いた時、夢から覚めるように彼は消えてしまった。
呟くような小さな声で「ありがとう」と言葉を残して……。
涙を流す人……
彼の名前を呼ぶ人……
ただ呆然としている人……
空に向かい拍手をする人……
暫くの間、その場所から誰も動けずにいた。
最初のコメントを投稿しよう!