4. 温かな五分間

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 彼と何度か過ごしたあの公園の近くに差し掛かると、ジャングルジムの天辺(てっぺん)に人影がぼんやり見えた。 …まさか……いや、そんなこと、あるわけ……  ハッとして思わず駆け寄ると、そこには彼が座っていて、さっきステージから私を見つけた時と同じ、柔らかな微笑みを見せた。  胸が詰まり何も言葉は見つからず、心臓の鼓動を何とか呑み込もうとする。  私はただその場に立ち竦み、彼の姿を見上げることしかできなかった。  彼は何も言わず頷いて、ジャングルジムの自分が座る左側に目をやり、また私を見た。  ひんやりと冷たい鉄棒を握り締め、一段、もう一段と、彼と星に近付いていく。  彼の膝の上で、小さな猫が眠っていた。 「ねぇ、こいつってルナとアルテミスの子ども?」  彼は、まるで一連の出来事が何もなかったかのように、 あの頃にそのまま戻ったかのように、 人懐っこい笑顔で、隣に座った私に聞いた。 「……ええ。確証はないけど、多分そうじゃないかと」  私も高ぶる気持ちを必死に抑え、ごく普通を装い、そう答えた。  私の飼い猫『ルナ』と、彼が面倒を見ていた野良猫『アルテミス』  この二匹の猫が、私達を繋いでくれた。  白黒のまだら模様のルナ。  額にミルクティー色の三日月に似た模様がある、白猫のアルテミス。  小さな猫は、額の三日月模様と、脇腹とお尻に黒い模様のある白猫。  間違いないと思った。
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