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「あっ、でも……」
私は急に笑いがこみ上げ、彼の顔を見た。
「なに？」
「男子はライダーとか戦隊モノにハマる子が多いでしょ？ あれは結構女の子が観てることが多かったから……」
「俺にも一個下の妹がいんだよ。だから、兄妹でライダーも両方見てたの！」
黙ってると、大人っぽくて少し冷めた雰囲気を纏っているように見えた彼が、照れ臭そうに言い訳をする様が、少しだけ可愛く見えてしまった。
「そうなんですね……アルテミスちゃん、お家で飼ってる訳じゃないんですか？」
「一人暮らしの上に、俺、家に居る時間短いからね。可哀想かなって……。
実家でも飼ったことないんだ。みんな猫好きなんだけど、妹、喘息持ちだったからね」
彼は少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべる。
「今日は猫缶買って持って来てやったんだ。でも、缶切り要るやつだったのに気付いて。だから、何か食べられる物ないかって、ポテチあげてたって訳」
「そうなんですね。じゃこれ、アルテミスちゃんに」
私はポケットからスティック状の猫おやつを二つ出し、一つを彼に手渡した。
「いいの？ お〜良かったなぁ、アル！ これCMでやってるけどホントに猫、好きなんだな。おい、そんながっつくなって」
彼は嬉しそうに目を細め、アルテミスが小さな舌でペロペロとおやつを食べる様を見ていた。
それを微笑ましく思いながら、私も彼の座るベンチの近くにしゃがみ、ルナに同じようにおやつを食べさせた。
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