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このゲームのプレイ時間も200時間を超えてラスボスはおろか裏ボスも数ターンあれば倒せる程キャラクターは強くなっていた。レベルは当然上限値を迎えもう成長することはない。全てのステータスもアイテムを使って上限値まで上げた。収集アイテムはすべて集め終わったし、倒せる敵はすべて倒した。もうこのゲームで僕が遊んでいない要素は一つもない。だから、僕は一生懸命育てあげた最強勇者のパーティーが記録されているセーブデータを消すことにした。さよなら勇者たち。そして僕はまた新しくセーブデータを作り一から始める。
「ユズルずっとそのゲームで遊んでるね。気に入ってくれてよかった。」
「うん、とっても面白いよ。買ってくれてありがとうお母さん。」
「でも、そろそろ新しゲームが欲しいんじゃない?」
「ううん、このゲーム難しくてなかなかクリアできないんだ、見てよまだ中盤の町でボスが倒せないんだ、でもなかなかクリアできないのが面白いんだ」
「ホントだ、負けっちゃってる。なら次はボスを倒せるように強くしなきゃね。」
全部嘘だ本当は何度もセーブデータを消してやり直しているだけでボスに負けたのもわざと攻撃をしなかったからだ。でもお母さんが楽しそうにゲームを遊ぶ僕を見て喜んでくれているならそれでいい。母子家庭でお金もないのにお母さんが頑張って働いて生活費を切り詰めて買ってくれたゲームだ、何度だって遊べる。また、強くなっていこう僕の勇者たち。
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