6人が本棚に入れています
本棚に追加
「待って! 見間違えじゃない」
そこでようやく東堂が沙織の隣にいる光輝に気がついた。
「八田?」
光輝は沙織を指差した。
「間違えてない。これ、東堂と一緒にいた女の人のだから」
光輝の言葉に、東堂が戸惑いの表情を浮かべる。沙織は早口で弁解する。
「ぬ、盗んだんじゃないのよ? このコート、東堂くんと一緒だった女の人が捨てていったの。今だって元あったところに戻したのに、私が捨てたと勘違いされて押しつけられちゃって」
横で聞いていて(正直苦しいなぁ)と光輝はヒヤヒヤする。それなのに沙織ときたら、キラッと目を光らせると、
「ねぇ、聞いていい?」
と、東堂ににじり寄った……。
最初のコメントを投稿しよう!