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「待って! 見間違えじゃない」  そこでようやく東堂が沙織の隣にいる光輝に気がついた。 「八田?」  光輝は沙織を指差した。 「間違えてない。これ、東堂と一緒にいた女の人のだから」  光輝の言葉に、東堂が戸惑いの表情を浮かべる。沙織は早口で弁解する。 「ぬ、盗んだんじゃないのよ? このコート、東堂くんと一緒だった女の人が捨てていったの。今だって元あったところに戻したのに、私が捨てたと勘違いされて押しつけられちゃって」  横で聞いていて(正直苦しいなぁ)と光輝はヒヤヒヤする。それなのに沙織ときたら、キラッと目を光らせると、 「ねぇ、聞いていい?」 と、東堂ににじり寄った……。
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