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「母とうまく話し合えないまま家を出て……。そしたら急に幸が「別れる」って、言い出したんだ」
「お母さんに反対されて、急に目覚めちゃったのかなぁ。こういうとき、女の方が現実に気づくのよね」
と、何の気なしに呟いた沙織を、
「おい!」
(デリカシー!)と、光輝が制する。「あ」と眉を下げた沙織は、
「ごめん」
と、東堂に頭を下げた。東堂が力無く首を横に振る。
「そんなはずない。僕らは本当に愛し合っていた……」
三人の間に沈黙が大きな幕を広げた。沙織と光輝は顔を見合わせた。
「幸さんって、どんな人なのかな。見たところ、社会人だけど、どうやって東堂くんは知り合ったの?」
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