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(ポケットの中を見たくてうずうずしていたんだな……)と光輝は呆れて沙織の横顔を見た。 「ポケットの中? そんなの関係ないですよ。やっぱり僕が子供だから……。それとも、そんなこと考えたくないけど、僕の家の金や家柄が目当てだったのか……」  「はぁ」と東堂が両手で顔を覆う。沙織と光輝は今日何度目だろう、互いに顔を見合わせる。 「ポケットの中、一緒に見る?」 と、沙織が聞くと、東堂は俯いたまま頭を横に振った。 「あれだけ嫌がっていたんです。幸が見せてくれるって言うなら別だけど」 「紳士だな」 と、光輝が感心すると、 「でも私は見たい!」 と、沙織が言った。言っただけでは我慢できなかったのか、 「コートを私たちが、落とし主を探すためにポケットを確認するなら、仕方ないんじゃない? どうかな、東堂くん」 と、沙織が東堂に聞く。
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