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「え、なになに、知ってる人?」
「男の方がね。同級生だ。聞いたことない?東堂勝也」
「学年が違えば入ってくる情報も違うのよ」
「結構モテてるよ、あいつ」
「まぁ、顔はいいよね」
「わお、上から目線だ」
「光輝と同じ学年なら私の方が歳上でしょ!」
フン! と息巻いてから沙織は「ふむ」と顎に手を当てた。
「手を繋いでるってことは、恋人よね。親戚のお姉さんじゃないよね」
「どうでもいいよ」
と、光輝が沙織の手を引こうとしたとき、
「やめて!」
と、東堂といた女性が彼の手を払い除けた。
二人を眺めていた沙織の瞳がキラッとする。光輝は「あーあ……」と大きなため息をついた。沙織も他の女子にもれなく、食べるの(……は人並み以上だと光輝は思っている)と、噂話が大好物なのだ。
東堂と女性はしばらく言い合っていたが、
「あぁ、わかったよ!」
と、怒鳴った東堂が女性に背を向けて行ってしまった。
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