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「それにしても変だったよね」
と、彼女が振り返ったのは、東堂と女性が言い争っていた歩道だ。沙織の眉が寄せられる。光輝も立ち止まった。
「変?」
「東堂くんが彼女のポケットに手を入れようとしたら、あのひと怒り出した」
「嫌だったんだろ」
「あの二人、付き合ってるよね? 歳は離れているかもだけど、絶対そんな感じだった! 彼氏がポケットに手を入れようとしただけであんなに怒る? ポケットの中で恋人と指を絡めるなんて、定番じゃん」
「んー、潔癖症だったとか?」
「今どき幼稚園児ですら手を繋ぐし、なんならチューもするよ?」
と、沙織が言い、光輝はうっすら頬を赤らめた。実は幼稚園の頃沙織にキスをねだったことがあるのだ。沙織が覚えているか分からないけれど……。
「そんなの人それぞれだろ」
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