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昔を思い出し照れる光輝がぶっきらぼうに返事すると、
「あ、わかった!」
と、沙織が手を打った。
「ポケットに元彼の写真が入ってるのよ。で、その元彼が東堂くんよりずっとイケメンなわけ。そりゃ、手を入れてもらっちゃ困るわ」
納得したと言わんばかりに沙織がウンウン頷く。しかし光輝は、
「東堂より顔がいい奴って、そうそういないよ。それにデートに前の恋人の写真なんか持ってこないって。俺なら見られたくないから、鍵のついた引き出しにでもしまっておくね」
と、言い返した。すると沙織が、
「え! 光輝ったら恋人がいたの?」
と、目を見張る。光輝は慌てて首を横に振った。
「恋人なんかいないよ!」
「僕ならって言った!」
「仮の話だろ」
と言い切ると、ようやく沙織が表情を緩めた。
「ま、私は昔の恋人の写真なんかあっても破って捨てるけどね。破局って言葉に破るって字がある通りに。恋人には誠実でなきゃ!」
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