私のトモダチ

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「え?何で?」 激しく焦る私。 と、廣瀬さんが不意に背後から声をかけてきた。 「いくら頑張っても開かないよ」 振り返ると、そこには――何時の間にか廣瀬さんが立っていた。 その隣には、まるで飼い犬がリードで繋がれているかの様に――廣瀬さんにぎゅっと手を握られた真知子ちゃんが並び立っている。 そんな真知子ちゃんの瞳は、こころなしかぼんやりとしている様な……何処か焦点が合っていない様な印象だ。 (え……?どうしたの、真知子ちゃん……) さっきまで、あんなに元気に遊んでいたというのに――。 虚ろな瞳で無表情に、ただ廣瀬さんの隣に立つ真知子ちゃん。 すると、不意に廣瀬さんが口を開いた。 「本当はね、優子ちゃんも一緒に連れて行きたかったの。だって、一人じゃ寂しいでしょう?でも貴女、気付いちゃったから。だから、『今回』は、真知子ちゃんだけを連れて逝く事にするわ」 とても綺麗な笑顔で、意味の分からない言葉をつらつらと並べ立てて来る廣瀬さん。 そうして彼女は、そう言い終わるが早いか――真知子ちゃんの手を掴んだまま、どんどんと公園の端……建物のヘリの方へと歩を進めていく。 (まさか……自分がされた様に、このまま飛び降りるつもりなんじゃ……?!) 理由なんて分からない。 けれど、そんな予感にかられた私は、慌てて駆け寄ると、真知子ちゃんの手を両手で掴む。 瞬間、真知子ちゃんの瞳に意志の光が戻った。
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