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3-3
「ほら、夕人。
昨日の鰤の粗から出汁とって炊き込みご飯作ってみたんだ。
……これやばいまじ激ウマ。おにぎりにしといたから食べて行けよ」
そう言って速生は夕人の目の前にプレート皿をコトッと置く。中にはほんのり色付いたご飯で握られた炊き込みご飯お握りが3つ。
「へ、へぇ」と声を出しながら、速生…こいつは一体いつ何時に起きてこういう丹念な家事に勤しんでいるんだろうか?とその有能さに驚きつつ。
毎度毎度の至れり尽くせり感が一周回って恐ろしくなってくる。
「確かに美味しそう……。
だけど…起きてすぐはこんなガッツリ無理……。
帰って食べるよ、ありが」
「はいそれダメ却下!朝はしっかり食べること!これ我が家の教訓。
夕人ぉ。俺は相模家から夕人を5kg太らせる命を受けてるんだぜ?
……破ったらどうなると思う?」
「…………さぁ…。どうせ母さんから何か言われる、とかじゃないの」
我が家の教訓って…いま初耳なんだけど。そう思いながらも。
お前は保護者かよ……と口に出しそうになり黙る。
なんだかまるであの過保護で心配性な母が目の前に居るかのような錯覚に陥りそうになりゾゾっと身震いしてしまったためだ。
「ん?ーー惜しいな。
夕人パパから怒られちゃう。
毎週末の夕人の近況報告ラインに怒りスタンプ連打が」
「はっ⁉︎…速生お前、……父さんとラインしてんの?」
「え?うん。
毎週末夕人の写真を送ってるよ。
ほら、先週末のは………風呂上がりの後ろ姿」
スマホをぽちぽちといじり夕人父、一夜とのlineメッセージ画面を見せてくる速生。
「…………!!」
そこには明らかに隠し撮りされたであろう、ランニングシャツを身にまとうとてもラフな後ろ姿の自分の写真。
マジかよお前…と目で訴えると、
「セクシーショット♡」と満面の笑顔で呟かれる。
「…………」
もういろいろ衝撃的すぎて、言葉も出ない。
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