1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
小さい頃は、雪が降ると雪合戦や雪だるまを作って遊び、
(早く雪降らないかなぁ)
と思っていた。
学校に入ってからは、雪の降りしきる寒い中を学校まで歩いて通った。
中学生になった頃から雪おろしや雪かきをする日々が嫌になり、
「雪の無い所に引っ越そうよ」
と両親によく言っていたが、叶わず、
(大学は、絶対に東京にする)
と心に誓っていた。
念願が叶い、東京の大学に進学することになり、その年の冬に雪おろし等をしないことがとてもうれしかった。
ちょっと雪が降った時には、ニュースで大騒ぎしていたので、
(こんなちょっとなのに)
とびっくりし、おかしかった。
正月休みに地元に帰ったら、いる間ずっと雪おろしをしていたので、次の年からは、
「バイトで忙しい」
と両親に連絡して、帰るのは夏休みのみにしていた。
大学3年の授業が全て終わり、バイトに精をだしていた日、バイトの休憩時間に携帯を見ると母から留守番電話が入っていた。
(なんだろう)
と思い、留守番電話のメッセージを聞くと、
「おじいちゃんが亡くなった。
明日お通夜で、あさってお葬式だから帰ってきなさい」
と母の淡々とした口調だった。
オーナーに事情を話すと、
「高野君がいないと大変だけど行ってきな。
4日位はなんとかするからさ」
と言ってくれた。
「ありがとうございます」
と僕は、オーナーに深く頭を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!