雪解け

1/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
小さい頃は、雪が降ると雪合戦や雪だるまを作って遊び、 (早く雪降らないかなぁ) と思っていた。 学校に入ってからは、雪の降りしきる寒い中を学校まで歩いて通った。 中学生になった頃から雪おろしや雪かきをする日々が嫌になり、 「雪の無い所に引っ越そうよ」 と両親によく言っていたが、叶わず、 (大学は、絶対に東京にする) と心に誓っていた。 念願が叶い、東京の大学に進学することになり、その年の冬に雪おろし等をしないことがとてもうれしかった。 ちょっと雪が降った時には、ニュースで大騒ぎしていたので、 (こんなちょっとなのに) とびっくりし、おかしかった。 正月休みに地元に帰ったら、いる間ずっと雪おろしをしていたので、次の年からは、 「バイトで忙しい」 と両親に連絡して、帰るのは夏休みのみにしていた。 大学3年の授業が全て終わり、バイトに精をだしていた日、バイトの休憩時間に携帯を見ると母から留守番電話が入っていた。 (なんだろう) と思い、留守番電話のメッセージを聞くと、 「おじいちゃんが亡くなった。 明日お通夜で、あさってお葬式だから帰ってきなさい」 と母の淡々とした口調だった。 オーナーに事情を話すと、 「高野君がいないと大変だけど行ってきな。 4日位はなんとかするからさ」 と言ってくれた。 「ありがとうございます」 と僕は、オーナーに深く頭を下げた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!