雨宿り

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 響はあんなにリスペクトを大切にする女の子なんだから。  低気圧が近づいていた。  夕立ではなく、もう台風の季節になっていたのだった。  航は会社の後輩と酒を飲んで店を出たところだった。  いつの間にか降り出していた雨に、その店の入り口でどうしようか思案していた。  その時、一つの傘に収まる若い男女が目の前を通り過ぎた。 「いい女ですねー」  航の後輩が航の後ろでそう言った。 「お前、タバコあるか?」  航はしばらく止めていたタバコを一本、後輩にもらった。
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