1人が本棚に入れています
本棚に追加
カウンターの中にいる美代の前の席には、あまり見かけない女が座っていた。
大学生だろうか、歳の頃23歳の美代より更に若い感じで、その儚い佇まいは一目見ただけで並々ならぬ美しさだと分かる。
美代は航の視線に気づいて、咳払いをしてとりあえずお冷やとおしぼりを、航の目の前に出して、アイスコーヒーを作り始めた。
儚い感じの彼女は俯き加減で、離れたカウンター席から見る航には、泣いているようにも見えた。
「ねぇねぇ、あの美人は誰?」
アイスコーヒーを受け取る時に、航は美代に囁くように訊いた。
「誰でもいいでしょ」
美代はそう言って、儚い美人の前に戻って、何やらひそひそとまた囁くように話している。
最初のコメントを投稿しよう!