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「どこに?」
航はもしや追い出されるのかと、焦りを滲ませて言った。
美代は顎をしゃくって、響の隣の席を指した。
薔薇色ってどんな色かと訊かれれば、この時の航の表情に現れていただろう。
「仕方ないよねー。だってお店も忙しいし、他に座るところがないんだからさー」
航は自分で飲み物やお冷ややおしぼりや傘を持って、2つ隣の響の隣席に移った。
「すみません」
二人の男女の客が、航に礼を言った。
「いえいえ、互いのリスペクトが大事ですから」
そんなことをにやけて言う航を見て、また響は口元に手を当てて、コロコロと笑った。
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