雨宿り

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「・・・リスペクト、大事ですよね」  コロコロ笑ってたくせに、急に黙り込んで、響はそんなことを俯いて、しみじみと言った。  改めて側で見ると、響の美しさには目を見張るものがあった。  22歳の航は、これほど美しい人と今まで付き合ったことはないと思った。  先週、三ヶ月付き合った女と別れた悲しみさえどこかに吹き飛んだ。  それどころか、あの女と別れたのは、神様の啓示に違いない。  響との出会いがあることを、神様が予め教えてくれたんだとさえ、航には思えた。  大きな雷の音が轟いて、雨が降り出した。  先日明けた梅雨の雨とは、振り方が違う。
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