イガイガが心を転がるとき

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イガイガが心を転がるとき

 志尊さんの勤める営業所と俺の勤務する営業所は違う県で、お互いの住むところも車で1時間以上離れたところにあった。  なので、食事に行くなら俺が志尊さんの営業所に行ったついでだな、とシフト表を見てみると、志尊さんが辞めるまでに俺が志尊さんのところへ行く予定は入っていなかった。  なんだ。食事に行くのは無理っぽい。残念だ。  フーとため息をついた。  心の表面を小さなイガイガがサラッと転がった感じがした。  それはどういう感情なのかまったくわからなかった。プラスの感情かマイナスの感情か、それさえもまるでわからなかった。  胸がモヤモヤした。  このモヤモヤを晴らすには、志尊さんと食事に行くしかない。なぜだかそう思った。
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