プロローグ

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プロローグ

 私は工藤椿(くどうつばき)18歳。最近まで乙女だった。と言っても結婚したわけではないよ。  子供ができたんだよー。  名前は『未来』。未来に希望を持てるようにつけた名前。  めっちゃ可愛い。子供を目に入れても痛くないとはよく言った物だ。  実際は痛いだろうが、痛みを感じさせないくらい可愛い。 「えいっ!やーーーー」 「つばきー、無理すんなよー」 「祐希、無理してないよー」  そう今共に戦っている相棒出雲祐希(いずもゆうき)が父親だ。 「はあーーーーー」  相手はクネクネと頭を振り攻撃のタイミングを見計らっている。  私は相手に向かって走った。  相手が頭を振り落とすが、私はその攻撃を交わし飛び上がった。相手が頭を上げるタイミングで剣を《つるぎ》を突き刺し、下に剣を滑らせた。  ドガーン    ミミズの化け物は真っ二つになり砂埃を立て倒れた。    はぁ、はぁ、はぁ、はぁ 「息が上がってるぞ」 「うるせー。祐希手間取っているじゃねえか」 「俺はニ体同時に相手にしているんだよ」 「早く言えよ」  私は後ろから(さそり)の怪物に剣を刺し、空中へ上がると頭目掛け短剣を突き刺した。  (さそり)の化け物は力無く腹を地につけた。 「つばき、サンキュウ」 「おい、いい加減、あたしの名前の漢字覚えろ」  私の名前の『椿』は母が好きな花から名付けられたと聞いている。  私は父母の顔を知らない。  父は私が生まれてすぐに他界し、母は物心つく前に地上に出ていって帰って来ていない。    父の名前は工藤達彦、母は祐美。父は純粋な地球人で母は自称宇宙人だ。  だから、私も宇宙人になる。  祐希も宇宙人らしいが確証はない。  私達は勝手に宇宙人と思っているのかもしれない。  だって、羽もないし自前の武器もない。  今握っている(つるぎ)は職人に作ってもらった物。 「祐希ー。トドメをさせー」 「任せろー」  ズドーン  二匹目の(さそり)の怪物が地面に沈んだ。  パチーン  私と祐希のハイタッチだ。 「今日はご褒美ありだよな」 「おうよ。俺が奢るよ」 「どちらも同じ財布だから奢りもくそもないだろ」    さすが相棒、息ぴったりだ。  私達が地上に出てから1ヶ月、2ヶ月経つ。毎日地上に出て怪物を始末しながら北に向かっている。  今日は昨日より数キロ進んだ。  私はこの地点に印を付ける。  目印だ。  目印は進んだポイントとしてつけるのは当然だが、帰り道の目印としても役に立つ。  食料や武器、部材に使える物をリュックに入れ、オオトカゲにまたがる。 「よし行けっ」  祐希と私はそれぞれオオトカゲのペットをもつ。水地以外では大いに役に立つ。  あたしは、薄暗い空を見上げた。
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