僕達の恋は運命だと信じたい

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僕って愛されていないの? みんな僕の前からいなくなるんだ。 愛されたい。愛されたい。 足掻き苦しんでいた僕の前に彼女が現れた。 温もりを教えてくれる、歩美が。 愛をたくさんくれた彼女と一緒にいる幸せを当たり前だと思っていた。 しかし、その灯火は突然消えた。 「ねぇ、二人で喫茶店したかったね。」 「うん。でも、今、爺ちゃんの喫茶店してんだ!」 「実はあそこね...。この話はまた今度。もう行かなきゃ。」  白い霧の中へ、消えていきそうな彼女の腕をつかもうと僕は手を伸ばし、 「頼むから行くな!ずっと一緒にいるって約束しただろ!」 叫ぶと“ゴン!”っと鈍い音を立て、目が覚めた。 「...夢か。逢いたいよ、歩美。」  サイドテーブルに置いている彼女の写真を見ながら呟く。  もう絶対届かないのに。  そう思うと会いたくなって。  ユリのように笑う顔をもう一度見たくて。  目の奥がジーンと熱くなったが、こんな僕の姿を見たら絶対に怒るだろうから、天井を見上げて深いため息をこぼす。  時計に目を移すと、針が8時を指している。 「やばい!あと1時間で開店の時間だ!」 慌てて準備をして車を走らせ、車内で彼女の好きな曲を流した。 町のはずれにある丘の上にひっそりと佇む祖父から引き継いだ喫茶店へと向かうために。
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