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彼らが出口へ行ったのを見届けると虎将と相原は目を合わせる。
「……さて、この女はどうするかな」
「男二人も使う必要はないだろう。縛っておけばいい」
虎将の言葉は冷たく感じたが、春子は彼を信頼していた。虎将ならどうにかしてくれるはずだ。
春子は言われた通り、男たちに解放されるがその代わりに縄で縛られて身動きが取れない状態にされた。服は破れたままだが、虎将がジャケットをかけてくれた。
「で、あんたの目的はなんだ? 次期若頭ってとこか?」
「ああ。話がはやいな」
「それならもうこの話は終わりだ。俺は若頭には興味がない。若頭になるつもりはない」
「お前の気持ちなど関係ない。会長が吾妻を可愛がっているという事実が私たちの行動原理だ。若い芽ははやいうちに潰しておかないとな」
相原は一歩も引く様子がない。
「……それなら、ここで俺を殺すつもりか?」
「あの吾妻を殺ったとなれば私たちの脅威も広がる。相原組の勢力も一気に拡大するだろうな」
相原は片側の口角を上げた。
「……あんたが俺を殺ったと会長が知れば、あんたは若頭になれない」
虎将は握りこぶしにぎゅっと力を入れつつも、声は冷静だった。
「そうなるだろうな。だがいずれ会長も……」
相原が喉の奥で笑う。その言葉に、虎将が殺気立つ。
「……それは聞き捨てならねえな」
「いい顔になったじゃないか」
相原はなぜか満足そうに笑っている。虎将は挑発されているのだ。春子は二人の話を聞きながら、冷や汗が止まらない。普通に話をしているように思えるが、圧倒的な緊張感がある。
しばらく黙っていた虎将は、小さく息を吐いた。
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