27.落ち着かない時間

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27.落ち着かない時間

「……ぅ」  陽太に連れられ、春子たちは吾妻組事務所にいた。  ここなら安全だと、吾妻組の組員も周囲を囲っている。ここまで連れてきてくれた陽太は、倉庫へ戻っていった。  到着してからずっと春子は足を抱えて泣いていた。こうしている間にも虎将がどうなっているかわからない。本当なら今すぐ会いに戻りたいところだが、そんなことをしても足手まといになるだけだ。  弱い春子にはどうすることもできない。それがもどかしくて仕方がなかった。  一緒に戻ってきた琴はソファで眠っていたが、しばらくして目を覚ました。 「……ん? ここどこ……?」 「琴さん! 大丈夫ですか!」 「ん……あ、春子さん?」  琴はゆっくり起き上がるが、びくっと身体を震わせた。 「いたーい!!」 「ど、どこをケガしてるんですか!」  琴は自分の身体を隅々までチェックする。あの人たちのことだ。何をしているかわからない。 「最悪跡ついてんじゃん……あのチビじいさん許さないんだからね!」 「チビってもしかして……」 「客のオッサン! めずらしくアフターしたいとか言うからついてったら眠らされてさあ……」  やっぱり、春子の義父のことだろう。
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