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「なにそれ、大丈夫なの?」
琴の表情もさすがに硬くなる。
「私にはわかりません……」
虎将の強さは目の当たりにしたし、東雲の俊敏さも見た。
でもあれだけの人数を相手に、拳銃まで持っていたらどうなるかわからない。
しかも、虎将は義父に刺されて負傷している。虎将はすごく苦しそうだった。刺されたとなればあのまま命を絶つことも考えられる。
想像してしまい、春子は寒気がした。自分の身体を抱きしめる。
「だ、大丈夫よ! お兄ちゃん強いし、虎ちゃんだって!」
「……はい」
琴は年下なのに励まされている自分が情けない。
彼女も兄が危険な状態なのだ。春子を励ましている余裕などないはず。
お願い。無事でいて、と両手をぎゅっと握った。
祈ることしかできない自分が歯がゆかった。
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