19人が本棚に入れています
本棚に追加
「がっつき過ぎでした。……コンビニ行ってきて、いいですか」
「へ? コンビニ?」
「準備、してないので」
初めて見る、赤くなった進藤くんの顔。
……ああ、ええと。そうですよね、私のが年上で大人なのにね。
むしろ、こちらこそ、スミマセン……。
なんだかいろいろ、気恥ずかしい。
でも。
「えっと。私も一緒に行っていいかな? アイス、食べたいし」
離れがたい気持ちと、熱くなりすぎた身体を冷やしたい。あと、なんか甘い物を食べたい気分。
私の申し出に、進藤くんがやわらかく微笑む。
「はい」
私が恋に落ちた瞬間の、あの微笑み。見てるこっちがとろけそうな、優しい笑顔。
進藤くんのコートを借りて、コンビニまでの、たかだか5分程度の道のりを歩く。
寒さを忘れるほどの暖かい思いでいられたのは、私が彼に寄せる想いと、彼が私に寄せてくれる想いが、同じだったから。
「叶絵さん、て。呼んでもいいですか」
「うん。……私も、雅貴くんて呼ばせてもらうね」
深夜。真っ暗な夜道。人の気配が途絶えているのをいいことに、私たちはひそやかに唇を求め合う。
最初のコメントを投稿しよう!