進藤くんちの事情《Side K》

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うわー、雅貴くんのパパママと会うのかぁ……。 こんな年上女が大事な息子さんと付き合ってるとかって……だ、大丈夫かな? 何か弱み握られてるの? とか、疑われたりしないかな? 思わず、そんな心の声を口にだしたら。 雅貴くんは、ああ……と、何かに気づいたようにうなずいて、私の耳もとに唇を近づけた。 「弱み……は、握られてますよね?」 「へ? あ、ひょっとして」 無類の可愛いキャラクター好きなこと?? 確かに、この無表情(かお)からは想像つかな───。 「惚れた、弱み」 耳に注ぎこまれる、透明な低い声音。ややかすれて告げられた息遣いが……やらしいなぁ、もう! かぷっと()まれた耳たぶが、やんわりと軽く引っ張られたあと、首すじに音を立ててキスされた。 はううぅ……。ズルいよ、雅貴くんは。なんなのその顔で、そのエロさは。 もう、もう、私ばっかり好きすぎるじゃん! って、胸中で文句を言った、直後。 「───好きです、叶絵さん」 「……っ……!」 たぶん、いま、すごい真っ赤な顔でにらむように見上げてる私に対し、やわらかく微笑みながら紡がれた雅貴くんの言の葉は。 ───本当に、ズルい。 キュンじゃなくて、ギュンギュンする胸の高鳴りに従って。 私は、雅貴くんの首の後ろに腕を伸ばす───。
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