進藤くんちのウラ事情《Side M》

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───そうしてオレは、いつの間にか、叶絵さんに「ありがとう」と、微笑まれるのを心待ちにしてる自分に気づいた。 ただ、叶絵さんの笑顔が、見たかった。 叶絵さんに彼氏がいるって知ってからも、それは変わらなかった。 というか、どんな彼氏か知らないけど、早く別れればいいのに……なんて、自分の内側にどす黒い感情があるのも知った。 だから───泊めて欲しいって言われた時も、勝手に、彼氏と上手くいってないんだろうな。これってチャンス到来かも、とか、下衆(げす)い考えが頭の片隅にあった。 ……結局、勘違いではあったけど、あまりにもゲスな思考だから、叶絵さんには知られたくない。まぁ、言うつもりもないけど。 ❖❖❖❖❖ 「叶絵さん、気分悪くないですか? 中年カップルのいちゃつきとか、エグいですよね」 叶絵さんの胸中を思うと、本当に申し訳なかった。 だから、必要以上に両親のことを『サゲて』けなして。先回りして、卑下してしまう。 「そんな、エグいとか、思わないよ? ただ、目のやり場には困るかな?」 オレの言葉に、叶絵さんは大げさに片手を振ってみせた。 ふいに、中学時代の友人たちの会話がよみがえる。 『親が仲良くしてるなんてキモくね?』 『だよな。親の性生活とか、まじ勘弁しろっつーか』 『男と女である前に、親ってこと自覚しろっての』
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