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「……っ、もう! こんなことするの、雅貴くんくらいだよっ」
……ああ、ヤバい。父さんが母さんにやたらと触れたがる訳が解った気がする……。
母さんの「怖ろしい子」が、よみがえる。
それと、もうひとつ。
オレが幼い頃、じいちゃんが言ってたことも。
❖❖❖❖❖
夜中、ふと目を覚ましたオレが、耳にしてしまった両親の『秘密の会話』。
ずっと、仲が良いと思っていた両親。特に、母に優しいと思っていた父と、そんな父を叱りつけて従わせるような母。それが、逆転したかのような、内容と雰囲気。
とまどった幼い日のオレは、じいちゃんに相談をもちかけた。
「父さんは、本当は母さんが嫌いなのかな。このあいだ、母さんが嫌がることしてたみたい」
と、言ったオレの話を細部まで聞いた祖父の心情を思うと……いまのオレは、かなりやるせない。
じいちゃん、ゴメン。……ってか、両親少しは自重しろ、と思う。
まぁ、その時に返してくれたじいちゃんの言葉が、状況を端的に表すけど。つまり。
「……そうか。それは、雅貴も心配になるな。でもな、雅貴。お前の父さんも母さんも、すごく仲が良いのは知ってるだろ?
大人になれば、お前が考えてるよりももっと、二人が仲が良いのが解ると思うから……とりあえず、今度の土日から、週末はじいちゃんちに泊まりに来るといい」
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