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Night TWO
会話らしい会話もないまま進藤くんに連れられ、着いた先は可愛らしい赤い屋根の小窓がある、クリーム色の外壁の2階建てアパート。
……一人暮らしって、前に言ってたよね。
どうぞ、と、うながされて入った部屋の間取りは6畳二間の2DK。
「寒かったら室温上げますので」
って、エアコンをつけながら、私の座った側にヒーターを置いてくれる。
お邪魔してすぐに見えた開け放たれたドアの向こう、ベッドがあった部屋でないこちらには、コタツがあって。
その上に乱雑に置かれた本は、私には解らない専門書のような背表紙。
進藤くんは、それを部屋の片隅に追いやると私を振り返った。
「先に夜ご飯食べますか」
「う、うん。そうだね……あ、ケトル使っていいかな?」
「どうぞ」
玄関入って右手にキッチン、左手にバスルームとトイレ、洗面台。
勝手知ったる我が家のように、手を洗い、ケトルに水を汲む。そして思う。
「あのさ、進藤くん。今更なんだけど……彼女いる?」
まずさ、そこ訊かずに泊めてくれって、何ズルい先回りしてんだ。
「いません」
うん、だよね。そんな、いくら私が恋愛対象外だとしても、彼女いたら泊めたりしないよね。そんな不誠実な人ではないよね。
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