番外編その1-1:佐々木さんの萌語り

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番外編その1-1:佐々木さんの萌語り

 おはようございます。事務の佐々木です。  今日は念願かなって推しのお宅訪問となりました。この部署の女性社員のほとんどが『室長と副室長夫夫を見守り隊』に所属しております。 「倉沢さ~ん。この皿ってここに置いとけばいいんっすかね?」  ムードメーカーの早瀬くんがパタパタと動き回ってます。 「あの私も何か手伝いましょうか?」 「いや、いいよ。佐々木さんは座ってて。今日は女子社員の慰労会も兼ねてるんだからね」  片目をつぶって笑って見せるのは私の推しである安住さんです。人当たりがよく、細やかな気配りもできる、まさに王子様。 「こらっ。早瀬。つまみ食いはまだ早いぞ」 「いやあ。このやみつき胡瓜美味いっす!」  どうやら早瀬くんが手伝いに飽きてきたらしいです。倉沢さんと早瀬くんの体育会系の先輩後輩のノリの応酬が始まりました。それも腐女子目線にはたまらないシチュエーションでございます。 「これって倉沢さんの手作り?わぁお。胡瓜買ってくるからまた作ってくださいよぉ」  早瀬くんが倉沢さんの袖を引っ張ってます。 「何言ってるんだ。こんな簡単なの。お前だって作れるだろ?」 「早瀬、お前またサボって倉沢にちょっかい出してるな」  二人の間に割り込む様に入ってきたのは安住さんです。安住さんジェラですか?早瀬くんにジェラシーでしょうか? 「ちょっとくらいいいじゃないっすか。今日はプライベートでしょ?」 「違うぞ。今日の主役は彼女らだ。僕たちはおもてなしする側だよ」  でしょ?と安住さんが首をかしげると倉沢さんがふんわりとほほ笑み返されます。普段はクールで隙を見せない倉沢室長が。やわらかくほほ笑まれました。それも安住さんと視線をばっちりと合わせて。 「尊い……」  気づくと女子社員Aと女子社員Bが横で頷いてます。わかるよ同志たちよ。この空間に存在する幸運を与えてくださり神様ありがとうございます。 「さあ。待たせたね。口にあうかわからないが今日は僕と倉沢の手料理を食べてもらおうと思ってさ」  リビングのテーブルには数々の料理が並んでます。ケータリングだと思ってましたが、この料理のどれもが推し達の手作りですと?なんということでしょう? 早速スマホを手に写真を撮りまくる私たち。もちろん料理写真を撮りながら背後の推しの写真も隠し撮りです。
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