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その後、カイからの電話で会場に戻り、少し試合を見学した。
「ど?良さそうな子いた?」
良さそう、という基準はなんなんだ。ビジュアルか?強さか?
ハッキリ言って、地方大会だから飛びぬけて強い子も見当たらない。ついつい男子の試合を見てしまい、あいつはいいとこまでいけそうだ、なんて思ったりしていたのだ。
あ、そういえば、一人だけ違う意味で印象深かった子はいる。
確かに顔は可愛かった。
空手の型も綺麗だった。
でも、実際試合をしているところは見ていない。
それ以前に、態度が悪い。
俺は何も悪いことはしてないはずだ。
それなのに、見ず知らずの人を睨むか?!
「失礼な女しか印象に残ってねーな」
「失礼な女?」
「なんでもね。だいたい、基準がわかんねーよ。それに、これって地区大会だよな?強い子がいいなら、全国大会の方がいいじゃん」
「全国大会ってまだ二カ月先だろ。さすがにそんなに待てねー」
カイに言ったつもりが杉野監督が返事する。
いやいや、日程厳しいなら、こんなところでのんびり新人発掘してる場合じゃないでしょうよ。変にこだわるから…、と思ったものの黙っていた。
「俺そろそろ行かなきゃだから、あとはカイに任せるわ」
「マジ?お前、JKなのに興味無さすぎ」
「JK、JKうるせーよ。カイ、犯罪者にはなるなよ」
「バッカ、5つしか変わんねーんだからアリだろ!」
「ここにいる奴らは未成年だろ。アウトだろ」
「チッチッチ。リョウちゃん頭固いわ~。あと二年したらここにいる子も二十歳よ?成人したら年の差は関係ないっしょ!そんなこともわからないの?そんなんだから、モテるのにモテないのよ」
「何キャラだよ、それ。ったく。監督、カイだけだと不安だから、お願いしますね」
「おお。もう行くのか?あんまり見てねーだろ」
「俺に選ぶ権利なんてないっすよ。監督が良いと思った人なら問題ないっす。お先に失礼しゃす」
そういって、隣の柳さんにも挨拶して、会場を後にした。
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