134人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、スタジオで会ったカイが興奮しながら話しかけてきた。
「諒也!喜べ!昨日めちゃくちゃ可愛い子ゲットしたんだ!」
「お前っ!高校生ナンパしたのかよ!?」
「は?何言ってんの?違う違う!MVに出てくれる子だよ!強くて可愛い子がいたんだよ!強いって言っても、まあ、三位決定戦で負けちゃったんだけどさ」
「ふ~ん」
「なんか、杉野監督と一緒にきたお友だちのオッサンがいたじゃん?」
「オッサンて失礼だな。まだそんなにオッサンでもないだろ」
「その杉野監督の友だちの知り合いだったみたいでさ」
「へぇ~」
あの柳さんて人の知り合いの女の子に頼んだのか。
あれ?
柳さんが来てた、てことは、もしかして、はじめからその子にお願いするつもりだったとか?
え、それだとしたら、俺たち行く必要なかったじゃん。
何のために連れ出されたんだ。
「はあ~、俺はあの子の二年後が待ち遠しい」
「お前は何を期待してんだよ」
「諒也、バカにしてんだろ?確かに、お前は綺麗な女優に囲まれてるから、美人見飽きてんのかもしんないけどさ。いいよな~お前は。可愛い子に囲まれてて!その気になりゃ、選びたい放題だろ?
なあ、お前合コンセッティングしてくれよ!可愛い女の子と一緒に酒が飲みたい!」
恐ろしい提案をしてくるが、ふと昨日見かけた失礼な女を思い出した。
「顔が良くても性格がどうかな」
「ま!この子ったら!美人は目の保養になるでしょ!」
カイは元気だな、と感心する。
よく喋るし、よく女の子と飲みたがる。
軽いノリについていけない時があるが、カイの作る曲は好きなのだ。
いろんな人との交流はいい曲を作るため、と言っていたが、女の子と飲み食いすることが曲作りにどういう影響を与えているのか、実際のところわからない。
でもこの後もずっとうるさくて、俺に声をかけてきたモデルの女の子に、みんなと一緒に食事でも、と誘うミッションを課せられた。
最初のコメントを投稿しよう!