学生時代

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中学生の思春期真っただ中の時、父親が再婚した。 男手一つで俺を育ててくれた父親には感謝している。そんな父を支えてくれる人がいて良かったとすら思った。 再婚に反対でもないし、義理の家族が嫌いなわけでもない。 何かと気を使う優しい義母と、構ってちゃんでたまに鬱陶しい年の離れた弟妹に、どう接していいかわからなかっただけ。 それまで静かだった家の中が突然賑やかになり、カラフルな家具や物がごちゃごちゃと溢れ、自分の家なのに他人の家みたく感じ、その変化に戸惑った。 新しくできた家族と父親が笑い合っているのを見て、俺はここに居ない方がいいのでは?なんて思った。 居場所がないというか、居づらいと思うようになった。 中学の頃は男女を意識し始める頃で、ちょっと不良に憧れる時期でもある。 俺もまわりのヤツ同様、カッコつけるようになった。 幸運なことに俺は割と顔が整っているらしく、空手をやっていたのでケンカが強いと言われ、女の子から好意を寄せられることがあった。 恋愛の好きという感情はまだよくわからなかったが、性への関心はあった。 家に帰りたくなかった俺は、女の子と過ごすことが増えた。 初体験もその頃だ。 家に居なくていい理由が欲しくて、高校ではほぼ毎日活動がある空手部に入った。 流派が変わっても10年と言う経験があるので、全国大会へ出場することができた。 しかし優勝したのは一年生の時の新人戦だけ。この時は確かに調子に乗っていた。 最初に優勝してしまったので、その後の期待が大きくて、勝てない俺は苦戦した。そして、空手に真剣に取り組むようになったのだが、それでも最後まで勝てなかった。優勝こそ逃したがトロフィーは何度かもらった。 全国大会の常連だったので、学校でも注目され、女の子によく声をかけられた。特に好きな子もいなかったので、ちょっと可愛いなと思う子から告白されると付き合ったりした。 しかし、中学の時のように女の子にのめり込むことはなかった。 一番に空手のことを考えていたからか、みんなに同じようなことを言われた。 『なんですぐ返信くれないの?』 『諒也からもデートに誘ってよ』 『空手ばっかり』 『諒也といてもつまんない』 『私のこと本当に好き?』 確かにマメではない。だけど、連絡はちゃんと返しているつもりだし、他の女をみているわけでもない。部活が優先なので、滅多にデートはできないけど、時々はプレゼントもしたりして、自分としてはちゃんと付き合っているつもりだった。 だけど、彼女は不満らしい。 つまんないとか言われても、女の子を喜ばせる方法なんてわからない。 何人かと付き合ったけど、毎回同じような理由でフラれた。
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