学生時代

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でも、妊娠したっていうのは、何かで確認したのか? 「病院、行ったの?」 彼女は首を振る。 「じゃあ、なんで?」 「妊娠検査薬。…生理が、遅れてたから、もしかしてって思って、検査キット使ったの。そしたらっ!…うっすら、線が入っててっ!」 「…それって、妊娠したってこと?」 彼女は小さく頷いてから言う。 「線が出たら、陽性なの。陽性ってことは、妊娠してるってこと!」 まじか…。 なんてことだ。 あの日、大丈夫って言ったじゃないか! そう言って責めたかった。 でも、そんなことを今嘆いてもどうしようもない。 それに、彼女の言葉を信用して快楽を求めた自分にも責任がある。 え、じゃあ、これからどうする? …()ろす? だって、 産むって言ったって、俺たちまだ高校生だぞ。いろいろ無理だろ。 正直、中絶して欲しい。 だけど、それを俺の口から言ってもいいのか? 無責任過ぎないか? その時彼女が俺に詰め寄って言う。 「ねえ、どうしよう!どうすればいい?!」 「どうするって…」 それを今考えてる。 中絶費用っていくらくらいするんだろう? たぶん高額だよな? 彼女一人にだけ負担させるわけにはいかないから、いくらかお金を工面しなきゃいけないだろう。
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