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じゃあ、…産む?
俺がいきなり父親になるのか?
そこで一気に責任と不安が押し寄せてきた。
そうだ。
彼女はとにかく不安なのだ。
彼女のお腹の中に命が宿っている。俺なんかより、ずっとずっと不安なはず。
甘く考えてた。
ちゃんと彼女に寄り添ってあげなきゃいけないじゃないか。
こうなったのは、自分にも責任がある。彼女を支えてあげなければ。
俺の中で一つの答えが導きだされた。
わかってはいるが、責任の重さから、なかなかその一言が言い出せない。
自分たちだけの力でどうにかできる問題でもない気がするが、まだ高校生だと言っても、あと半年で卒業だ。
覚悟を決めろ!
よし!
「ごめん。どうでもいいとかじゃなくて。ユイの気持ちを優先したかっただけなんだ。堕ろしたいなら金は出すし、産みたいなら産んでいいよ。俺が責任とる」
「責任取る、て何?」
「俺が支えるから。結婚してその子育てていこうよ」
「へ?…何言ってるの?私たちまだ高校生だよ」
「あと半年で卒業じゃん。確かに、まだまだ未熟だとは思うけど、卒業したら俺、働くし、頑張るから。だから、そんなに不安になるなよ」
「ふえぇ~。リョウく~~~ん!」
泣きっぱなしの彼女を抱きしめながら考える。
彼女の親に謝りに行かないと。たぶん殴られるだろうな。
うちの親にも怒られるだろう。
それは仕方ないとしても、問題は今後の生活だ。
働き口を探さなきゃ。俺一人の給料でやっていけるか?
住むところはどうする?
出産するのにも金がかかるし、もう今すぐ学校やめて働いた方がいいんじゃね?
そんな未来設計図を考えていた時、出産はいつ頃なんだろう?と思い、その時気が付いた。
まずは病院に行かないと。
しばらくして泣き止んだ彼女に言う。
「まずは病院行こうよ。不安なら俺も一緒に行くから」
「リョウくん…ありがとう!」
ぎゅっと抱きついてくる彼女。
それから、病院に行こうとしたが保険証がないことに気づき、取りに帰る彼女に着いて家に行った。
すぐに戻ってくると思って玄関で待っていた。
するとそこに慌てふためいた彼女が戻ってきた。
「リョウくん!どうしよう!出血してる!」
「え!!大丈夫か?!」
とりあえず、生理用ナプキンを装着して病院へ急ぐ。
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