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「柊真」
「ん?」
ぴたっとキスを止めた照明を不思議に思って見つめれば、困ったような顔をしている。
「どうし……っ!?」
ぐっと抱き寄せられたかと思えば、固くなったそれを押しつけられ、息を呑む。
「男なら、分かるだろ」
「っ、かるけど」
「帰るぞ」
「え、ちょっ……」
と、輝明に強く腕を引かれて急いで帰ったのはいいものの、二人とも男は初めてというのもあり、結局最後まではできなかった。
「あ、いっ……」
「ごめん。抜く」
先の方だけ入っていた輝明のものが出ていき、痛みからは解放されたが、寂しいような気がして、輝明に抱き着こうとする。
「あ。柊真、ほら見てみろ」
輝明が俺の腕を引き、窓際に向かう。
「輝明。俺らいま全、裸……」
輝明をたしなめようとしたところで、俺は窓の外の景色に言葉を飲み込んだ。
それは、よく見慣れた夜明けの光景だった。深い闇が橙から薄黄色の空に移り変わっていく、とてもありふれた景色だが、輝明の横顔を見た後に改めて見れば、いつも以上に綺麗に思えた。
「柊真」
「ん?」
「俺、生きててよかった」
「うん」
輝明の頬を伝う涙を、俺は見ないふりをして、片手をそっと握りしめ、夜明けを眺め続けた。
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